2009年09月22日
さがす
浜比嘉島の海岸
「さがす」というタイトルだが、先日からのものとは関係ない。
先日ある本の「ハジチ」の話を取り上げた際、
ついでに思い出した話があった。
宮本常一の「忘れられた日本人」(岩波文庫)の
5ページにも満たないが「子供をさがす」という、
一章である。
宮本常一は民族学者である。
宮崎駿の「もののけ姫」の構想に
大きな影響を与えたといわれている、
網野善彦という歴史学者に、
宮本は大きな影響を与えている。
さて「子供をさがす」の内容である。
とある農村でのことである。
小学低学年男児がテレビをほしがっているが、
親を含め祖母も反対する。
母親とのそれに関わるひょんな会話から
男児は家を飛び出してしまう。
夕飯時になっても帰らない。
心配して祖母が探しても出てこない。
祖母の大声で周囲の人達も異常に気づき
いっしょに探し始める。
そしてもしものことがあってはと、
警防団も動員された。
男児の父親が夜も遅くなる前に帰ってきた。
すると、男児はひょっこり出てきた。
事態が大きくなって出れるに出れなくなっていた。
さすがに父親の声を聞いて出てきたという。
家人はさっそく、
放送でお礼をいい、さがしにいってくれた人々にお礼を言って回った。
そして気づいたのは、
だれかが何をさしずするわけでもないのに、
みんなはそれぞれにかってに探しにいき、
こころあたりをくまなく探していたのである。
ところが村人が懸命に探しているにもかかわらず、
捜索にくわわらず、子供の噂話に夢中になっている、
人達がいる。
最近よそからきて住みついた人々だ。
普段の付き合いはなんともないが、
こういうことにはまったく無関心で、
参加しない。
「ある意味で村の意志以外の人々」だという。
そして、「いざというときは村人にとっては役に立たない人」
と宮本は言う。
そのとき若い男がひとり子供を探しにいっていた。
未だ帰ってこない。
彼はのんべえであったが、子供達には人気があった。
彼は人里はなれた一番山奥の山寺まで子供を探しにいっていたのだという。
概ねそのような話であるが、
これで、ぱっと思いついたのが、
「となりのトトロ」で主人公のひとり
小さな女の子メイが、
行方不明になって、
村人総出で捜索するシーンである。
このシーンは、この本の話が
ベースかな?思ったのだが、
よく考えてみると、
日本の都会ではないところや、
沖縄のちょっとした田舎でも
このような連携はよくある事だろうと思う。
告別式の案内、各種行事の呼びかけ、
いつだったか、中部では
尋ね人の放送も聞いた事がある。
地域の人々の損得関係と無縁な
このような連携は
失ってほしくないものだ・・・
Posted by 瓦屋根 at 20:23│Comments(2)
│仕事の余白
この記事へのコメント
昔 幼稚園の弟が「冒険」をして居なくなったとき、親戚一同とご近所で探し回った事を思い出します。(泣)
でも今は 噂話している方なのかな・・・て思いますね。
地域に溶け込むような「自分」になっていきたいですね。
でも今は 噂話している方なのかな・・・て思いますね。
地域に溶け込むような「自分」になっていきたいですね。
Posted by レッジアル
at 2009年09月23日 14:19

それぞれに皆さん周囲にお世話になってるんですね^^
>地域に溶け込むような「自分」になっていきたいですね。
いいこといいますね^^
「太陽の家」で頑張ってください^^
>地域に溶け込むような「自分」になっていきたいですね。
いいこといいますね^^
「太陽の家」で頑張ってください^^
Posted by 瓦屋根
at 2009年09月23日 23:44
