漆喰瓦屋根のある風景

那覇市

「マーラーの交響曲第５番第４楽章アダージェット」といえば、

なんだか高尚のように感じるが、

聞いてしまえば、だれでも「あ、どこかで聞いたことがある」

と思うほどごく普通に有名なクラシック音楽である。

その曲を聴くと、必ず思い出す映画がある。

それは「ベニスに死す」である。

思い出すのは当たり前で、この映画の挿入曲なのである。

だいぶ以前になつかしの名画を上映する映画館で見たのである。

年いった芸術家の男が、

旅先のベニスでみかけた美少年に

ほのかな思いを抱き、

年甲斐のない行為を繰り返し、

最後は疫病の流行ったその地で死んでしまう。

ストーリーはいたって単純なのである。

美しいこの曲の旋律がバックで流れる中、

化粧をした男はたしかビーチのサマーベッドの上でしんでいく。

深い感動とか感銘などというものはないにもかかわらず、

曲を聞くたびにこの印象的なシーンを思い出す。

この映画の解釈がどうのこうのはおいといて、

つぎに連想をしてしまうことがある。

タッキー似の若かりし頃、

Y公園で初老のおっさんに声をかけられたこと・・・

名曲、名画から変な方向へと連想がすすんでしまう、

瓦屋根なのである・・・