2005年12月18日

赤瓦の嘆き

 本業の話をしなさい! と、お叱りを受けそうなので、瓦の話を少しします。まずは赤瓦の島瓦のことから。

となるとですね、私はため息が先に出てしまいます。もちろん今でも島瓦は新しく焼かれて使われています。

私がこだわっているのは最近の新しい島瓦ではありません。

20~30年以上前に作られたの手作りの島瓦です。

 今の瓦製造は機械化が進み形が均一化されています。確かに葺きやすく見た目もきれいで、漆喰を塗りつけてもきれいに塗りあがるのですが、あまりにそろいすぎて、のっぺらぼうなきらいがあります。

 手作り時代の瓦は、形がやや不ぞろいですが、それが意外に味わいのあるかわら屋根の表情を作り出しているのです。バランスの悪い瓦をそろうように葺きあげ、そこにまた漆喰で調整仕上げていく造形美があると思うのです。

その手作り時代の瓦は、建替えで取り壊されたりで激減しています。さらに悲しいことに、きれいになるからとか、あるいは雨漏りがするからといって、塗装をすることです。

 みなさんはそれ自体歴史がありおおげさですが骨董的価値がある焼き物(瓦)に塗装したりしますか?
家主さんの好みならし方がありません。
雨漏りの場合も、原因があり屋根(小屋)裏から確認して修繕できる場合が多いです。

瓦は風化劣化しなければリサイクルできる建材です。昔といっても数十年前まではそのように使われていました。

いまでも赤瓦屋を取り壊すときは、取り残す方もいるようですが、そのまえに塗装されており使い物にならなくなっています。

 本土の寺社などの歴史的建造物の瓦で千年以上前に作られた瓦があるそうです。赤瓦は素焼きなので本土の黒色系の瓦と比較してそこまでの耐久性はないですが、それでも長生きさせたいじゃないですか。

それが、残念で寂しいことにどんどん失われているのです。


同じカテゴリー(文化)の記事
行事
行事(2024-12-11 10:14)

茅葺家屋
茅葺家屋(2021-09-27 17:25)

”ヨロコビ~”
”ヨロコビ~”(2021-03-14 18:31)

瓦絵付け体験
瓦絵付け体験(2020-10-02 17:32)

ミニ正殿
ミニ正殿(2020-10-01 09:00)


Posted by 瓦屋根 at 22:18│Comments(2)文化
この記事へのコメント
さみしいですね
残っていってほしいものです。
Posted by kep at 2005年12月19日 11:08
kepさん、たびたびのコメントありがとうございます。
法隆寺の寺社番匠(宮大工棟梁)であった、故西岡常一さんは、「ほんとうにいいもの(建築)は残る」といっていたらしいです。ここ沖縄でも通用する話にしたのですが・・・
Posted by 瓦屋根 at 2006年01月29日 22:18
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。