2006年02月11日

恥ずかしがり屋の漆喰

本土の漆喰はおもに壁に使われるので、沖縄の屋根の漆喰ほど風雨にさらされません。

そのため、かなりの期間(数年~数十年)は石灰の持つやわらかな「真っ白」さが維持されます。

ところが、沖縄は違います。

漆喰を使って瓦を葺くのは、台風の猛烈な風雨をしのぐのが当初の目的です。

ですから、漆喰は水にさらされてしまい、塗り替えて数ヶ月後には黒く変色が始まります。

方言では「くるべー」といいますが、まあ、コケのようなものです。

最近の住宅の、ぴかぴかずき、厚化粧好きの風潮には、漆喰瓦屋根の侘びた雰囲気は理解されなくなりました。

仕事柄の個人的な見方に過ぎませんが、漆喰が風化劣化しない限り、
わらの黄色→白色→灰色→黒色
へと変化していく漆喰に、季節の変化と年月の経過を重ねて感じるものだと、思っております。

しかし、急速なコンクリート住宅の普及は、周辺の緑地や屋敷林を衰退させ、
漆喰瓦屋根の黒っぽいわびた雰囲気はそぐわなくなり、
漆喰瓦屋根は都市はもとより田舎からも追いやられつつあります。

それでも、漆喰は漆喰なのですが、目立つような主張はしないのです。


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この記事へのコメント
ハイサイ!瓦屋根殿
小生は仕事柄(リフォーム)漆喰に非常に興味があって、仕事でもたまに使用します。使用目的がちょっと、外道ですが。
主に、店舗の内外装に使ったり。コンクリートの門柱や壁の仕上げ等に使います。味があってなかなかいいですよ。
最近クロス張りの内装住宅が多いですが、代わりに漆喰を使った自然素材の塗り壁もおしゃれで環境にやさしいのではと考える今日このごろです。
沖縄のいいものを残す為にもムチ大工の皆さんにがんばって欲しいです。
Posted by pacific-18 at 2006年02月13日 11:53
pacific-18さん、コメントありがとうございます。
>使用目的がちょっと、外道ですが。
そんなことはありません。店舗の内装にはいいですよ。消臭、特にタバコの臭いも吸収するようですし。石油化学製品の建材の臭いで気分が悪くなるより、はるかにいいのではないですか。それとデザインとしても悪くないです。ほんとに居住空間を大切にしたいのでしたら、沖縄でも、漆喰は瓦屋根だけではなくて、本土のように壁の内装にもどんどん使われてもいい建材だと思います。防湿、防カビ、断熱等の効果があるのですが、残念ながらなかなか認知されないです。
Posted by 瓦屋根 at 2006年02月14日 21:16
>わらの黄色→白色→灰色→黒色
>へと変化していく漆喰に、季節の変化と年月の経過を重ねて感じるものだと、思っております。

なるほど、そうですね、そう考えるといいですね
ぴかぴかずき、厚化粧好きな環境にいると
漆喰の黒いのを洗いたくなるんですが
そう考えると確かにそれも味になるんですね〜
新しい価値観を感じるとほんと面白いですよね
勉強になります。
Posted by kenp at 2006年02月15日 09:50
はいさい!kenpさんいつもコメントありがとうございます。
人にたとえると「風格のある髭面」ということではどうでしょうか?
たまに、営業で比喩的にいいますが、変な顔されます。
Posted by 瓦屋根 at 2006年02月16日 01:14
「風格のある髭面」
うまい!!
面白い例えです。
あー、でも、好みが分かれそうですね〜
Posted by kenp at 2006年02月16日 08:55
 
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