2006年01月31日

「光る家」

豊見城市S型瓦屋根住宅
「光る家」

上の写真のかーらやーは豊見城市のやまがちなある集落にあります。

まず、屋敷全体の造りとその瓦住宅の大きさに驚かされます。

住宅は奥行きだけでも六間ありましたので、正確ではないですが建坪での屋根は

50坪前後あると思います。

古民家瓦住宅は30坪を超えると大きい部類にはいりますので、

この瓦屋がいかに大きいかわかっていただけると思います。

屋敷周囲の石積み、ヒンプンには琉球石灰岩を使用し、その上には門も含めて住宅と同じ赤瓦を

のせることで統一しています。

屋敷内は、蘇鉄、くろきなどの沖縄特有の植物を植え庭木とし、庭石に島石(琉球石灰岩)を配置し

独特の空間を作り出しています。

そしてより大きな景観として、集落の聖域である森が左後方からそっと包むように屋敷が配置されています。

那覇はそこから10分足らずですが、都会の雰囲気とは全く違った別の空間がそこにはあります。

この住宅は木造だけのいわゆる伝統的工法ではなく、

軒(庇)や外壁の一部にはコンクリートやブロックが使用されており、

木とコンクリートの双方の長所を生かそうと苦心したあとが感じられます。

2年ほど前に訪れたときに築年数を聞いたのですが、たしか築40年~50年になっていたと思います。

残念なことに、軒のコンクリートが鉄筋の錆により弱っているので、早め目になんらかの

手当てが必要と思われます。

今の住人は家主さんの親類とのことで、なんと家主さんはハワイ在住ということでした。

今でもご健在であればいいですね。

この集落は畑が少なかったため、多くの海外移民を出していて、その移住者達が移民先で

稼いだお金を親族に送金していたそうです。この屋敷もそれでできたそうです。


ところで、この住宅に使われている瓦は本瓦ではなく、S型瓦です。

今はあまり使われなくなりましたが、釉薬が塗られており、陶器のような質感で眺めていると高級感が漂います。

職人の間では「陶器瓦」とも呼んだりします。

この屋敷は建てられた当時は瓦屋根の大きさと、「陶器瓦」の珍しさと、釉薬で太陽の光が反射するので、

近隣の住人達から「ひかりやー(光る家)」と呼ばれていたそうです。


追記:この瓦の上で漆喰を仕上げるのは結構しんどいです。漆喰を塗らない胴の部分に足をおいて作業するのですが、釉薬が塗られているので足が滑ります。雨端(軒先)近くになると滑り落ちないようにかなり神経を使います。少しでも雨が落ちるとツルツルになります。


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