ばくさん・・・

瓦屋根

2009年09月28日 23:56

ひょんなことから、

長い間行方不明になっていた、

ばくさんの詩集が見つかった。

読みはじめで、

思わずにやりとしてしまう。




一二月のある夜


一二月のある夜 金のことで
ホテルのマダムを詩人が訪ねた
マダムはそっぽを向いて言った
お金のことなんて
詩人らしくもないことです
俗人の口にするみたいなことを
詩人がおっしゃるもんじゃないですよ
お金に用のないのが詩人なんで
詩人は貧乏であってこそ
光りを放ち尊敬もされるんです
詩人はそこでかっとなり
借りに来たことも忘れてしまって
また一段と光りを添えていた


思潮社「山之口貘詩集」より

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