ハジチと島ちゃび
夕暮れ時の渡名喜島のカーラヤー
まだ読書の季節には早いが、
「うぶで純心」な瓦屋根は・・・
なぜか読書をしている。
きょう読んだもので、
こころをうつ話があった。
簡単に紹介する。
やまとぅんちゅのOという研究者が、
昭和初期に南島の島づたいに入墨(ハジチ)を
採集していたときの話だという。
Oは宮古島で上品な女性の手の甲の入墨(ハジチ)を
写生させてもらった。
宮古島の次に多良間島にわたりそこの女性の入墨も写生し、
そこで時間が少しあったので、
さらに多良間島から少し離れた水納島に渡った。
そして水納島の民家に入りある老婆の入墨を写生した。
老婆が他の島の入墨はどんな文様かと尋ねてきたので、
Oはこれまでの写したものをみせた。
すると、老婆はある一枚をずっと凝視して、
「これは、娘の入墨だ」といって、
泣きそうになりながら、写生した紙を撫でたり、頬ずりをしたそうだ。
それは宮古島で採集した上品な女性のものだった。
入墨は島ごとにデザインがあり、細かいところは個人的特徴があるので
老婆は記憶していたのである。
娘は十年以上前に駆け落ちで島を出て、
行方知らずになっていたのだという。
Oがその日の夕方島を離れる際に、
老婆は胸が海中につかるあたりまで、
船にすがりついて、
声にならない声をあげていたという。
先日、バイクで橋のかかった島々を回ってきた。
これが橋が無かった時代を想像する。
便利になって島外者によって島があらされることを憂慮するより、
物が無い、医者にかかれない、等の離島苦(島ちゃび)の
克服がなによりも優先されて当然だと思う。
先日仕事したかーらやーの家主さんの祖母もハジチ(入墨)
をしていたのだという。
ここ最近の瓦屋根の体験が、
先に紹介した本の話と
妙にリンクしてしまい、
ちょいと、うるる、の心境であった。
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