壷屋と桜坂と学生服
どういう理由でそこを通ったのか記憶にない。
高校生のときである。
今は重文に指定された壷屋の登窯の、上の方の一方通行をとおり、
桜坂を抜け国際通りにでようとしたことがある。
夜の10時はすぎていたので、バスを逃がすまいと急いでいたと思う。
もちろん学生服を着ていた。
高校生瓦屋根もここらへんがどういうところか、当然知っている。
高校生だと一目瞭然にわかるのに、桜坂からグランドオリオンまでいくあいだ、
飲み屋の「麗しき乙女」達に次から次へと声をかけられた。
今声をかけられれば、「いくらで飲める?」なんて、かけあいぐらいはする。
当時タッキー似のうぶな瓦屋根にとっては、ちゃーぶってかしー するほどの
恥ずかしさであった。
今思えば、おちょくられていたのであるが、うぶな瓦屋根が足を踏み込んでいれば
今頃どうなっていたのであろう?
あのころから瓦屋根は、姿形そして心も変わった。
桜坂一帯も確実に変わりつつある。
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