瓦屋根民家の知恵

瓦屋根

2006年02月19日 17:33



写真は本瓦(島瓦)葺カーラヤーを下から眺めた軒周りのアップです。

さて、雨端(あまはじ)の瓦(はながーら)の下を横切る金属はなんでしょう?

この問いに即答できる方は相当な沖縄通です。少し大げさですが。

でも、年配の方ならすぐ分かります。

答えは、樋(とい)です。しかもブリキです。でもブリキのトーイ(TOY)ではありません。
ブーイングが聞こえそうなので、仕切り直します。

さて、今でももちろん樋は金物屋さんで売られており、一般住宅でも使われています。

でもほとんど塩ビ製になりましたね。取りつけやすいですし、コストも安い。

いま、写真のようなブリキの樋を発注すると、特注になるそうです。

珍しいものになってしまいました。

ところで、樋の果たす役割は意外に重要です。
主な役割を箇条書きにしますと、

1. 家人や客人が出入りの際に、屋根から流れ落ちる雨水をかぶらないようにする
 土砂降りの場合は屋根から流れる雨水の水量は半端ではありません。

2. 接近した隣接地へ流れ込まないようにする。
 住宅密集地では、住宅と隣屋敷との距離が1mにも満たないところがあります。お隣へ迷惑を欠けない配慮です。

3. 軒下に屋根からの雨水が落ちないため、雨水が跳ねずに外の柱や壁板を腐らせない
 意外とありがちなのが、隣家と接近していないからとか、雨水は貯める必要がなくなったということで、樋が壊れても放置するか、取り去ってしまっている家屋があります。
 もう少し気を使ってほしいのですが、樋があるかないかで、時が経つと外部の木材の状態がかなり変わります。長持ちする家ほど樋はきちんと残っています。

4.雨水を集めて、貯める
 最後に今ではあまり意味はなくなりましたが、樋は生活用水の重要な取水源のひとつだったのです。一時かなりはやったのが、樋から集めた雨水を円筒形でセメント製のタンクに貯水することでした。それも水事情の改善でかなり少なくなってしまいました。

 


以前、天水(雨水)でたてたお茶は、おいしいという話しをしました。

泡盛の古酒は素焼きの甕(カメ)にいれ熟成させ、そのために風味がまろやかになるそうです。

素焼きの赤瓦から流れ集めた天水だから、お茶もおいしいのでしょうか? 

ははは

ちょっと無理がありますか…
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