恥ずかしがり屋の漆喰
本土の漆喰はおもに壁に使われるので、沖縄の屋根の漆喰ほど風雨にさらされません。
そのため、かなりの期間(数年~数十年)は
石灰の持つやわらかな「真っ白」さが維持されます。
ところが、沖縄は違います。
漆喰を使って瓦を葺くのは、台風の猛烈な風雨をしのぐのが当初の目的です。
ですから、漆喰は水にさらされてしまい、塗り替えて数ヶ月後には黒く変色が始まります。
方言では「くるべー」といいますが、まあ、コケのようなものです。
最近の住宅の、ぴかぴかずき、厚化粧好きの風潮には、
漆喰瓦屋根の侘びた雰囲気は理解されなくなりました。
仕事柄の個人的な見方に過ぎませんが、漆喰が風化劣化しない限り、
わらの黄色→白色→灰色→黒色
へと変化していく漆喰に、季節の変化と年月の経過を重ねて感じるものだと、思っております。
しかし、急速なコンクリート住宅の普及は、周辺の緑地や屋敷林を衰退させ、
漆喰瓦屋根の黒っぽいわびた雰囲気はそぐわなくなり、
漆喰瓦屋根は都市はもとより田舎からも追いやられつつあります。
それでも、漆喰は漆喰なのですが、目立つような主張はしないのです。
関連記事